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院長Blog 筋トレやりましょう
ウォーキングや有酸素運動が心臓の健康に有効なことはよく知られています。
しかし、今まで筋トレのメリットはあまり指摘されていませんでした。
しかし、最近の研究で実は筋トレは寿命に大きなメリットをもたらしていることが報告されました。
最近、20〜69歳の約5000人を対象に、ウエイトトレーニングが老化に与える影響を詳しく調べた研究が、オープンアクセスの国際的生物科学ジャーナル『Biology』に掲載されました。研究者は各参加者のテロメア(染色体の先端にあるDNAを保護するカバー)の長さを測定。テロメアは年齢とともに短くなるため、短縮する割合が各個人の老化スピードを示す可能性があります。研究にあたって、参加者の筋トレを含め運動する頻度を調査しました。
その結果、筋力トレーニングに最も時間をかけていた参加者は、筋力トレーニングを全くやっていない参加者よりテロメアが著しく長いことを発見。特に筋力トレーニングを1週間に90分やっている人は約4年、生物学的老化が遅いことが分かりました。つまり、潜在的に約4年寿命を伸ばしているということになるということです
筋力トレーニングは血圧や安静時の心拍数、ストレスレベルを下げます。そのため、心臓血管病やそれによる死のリスクの低減に役立つと研究者は以下のように言っています。
「体重減や身体組成管理、病気や死亡リスクを低減させる要因にも役立ちます。また、転倒リスクの低減やスタミナやバランスの向上も助けるので、座りがちなライフスタイルによる悪影響を減らすことにも効果的です。」
また、年齢とともに命に関わる可能性が出てくる怪我から、骨や関節、靭帯を守ることでも寿命を伸ばす役に立つとも言っています。骨格筋や関節、骨に対する影響だけでなく、慢性病と闘うことや、メンタルヘルスの向上にも役立ちます。
こうした広範にわたる健康メリットがあるため、筋力トレーニングは「病気を制限し、細胞の老化を遅らせる」可能性があると研究者はまとめています。
今回の研究結果は、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が現在推奨しているガイドラインの「成人は1週間あたり2回の筋トレをすべき」という内容にも合致していると研究者は言います。
だからといって、慌ててネットでダンベルを購入したりする必要はありません。その前に、初心者は運動時間を短くし(20分以内)、一般的な運動で総合的にワークアウトをすることに重きを置くべきだと研究者は言っています。
「まずは自重スクワットから始めて、簡単すぎるようならウエイトを加えましょう!」。初心者はクランチやリバースクランチ、プランクが総合的な筋トレを始める上で素晴らしい方法であると。
いきなり重いウエイトを持ち上げたりルーティンに負荷を加えたりする前に、正しいフォームで行うことが大切です。完璧にすることを目標にすべきだとスミス氏も同意する。
「時間と一貫性がちゃんとできたら、力がついて、より重いウエイトや他の運動を加えることができるようになるでしょう」。
1週間に2〜3回、1回あたり15〜20分の筋トレから始めることが勧められています。
「筋トレは寿命を単に伸ばすだけでなく、その伸びた数年分の”質”までも向上させるのです」。
今回の研究から、長寿や全体的な健康を促進するために誰もが日頃の健康増進に何らかの筋トレを加えるべきだと言えるでしょう。
さらに、筋トレを自身のルーティンに加えることで、年齢を重ねても自由に自分の望むとおりに動き回ることができる可能性が高く、今から数年、数十年とたった時に、日常生活を誰かの援助なしでは送れない生活になるか、自分の願うように趣味を楽しむことができるか、その違いは今日の筋トレから生まれる可能性があるということを、今回の研究は示唆しているといえましょう。
まとめ
- アメリカの最新研究の発表によると、筋力トレーニング(以下;筋トレ)を続けることによって寿命が最長4年伸びる可能性があるという。
- 具体的には1週間に約90分の筋トレをすることで、生物学的老化を約4年遅らせることにつながることを研究者が指摘。さらに筋トレが質の高い長寿にとって有効な理由が幾つもあることが示唆されました。